会社設立後にやることリスト|提出書類と期限・社会保険

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登記が完了しても、会社としての手続きはここからです。この記事では、会社設立後にやることを提出先ごとに整理し、それぞれの期限と根拠をひとつずつ確認していきます。

最初の山は設立から2か月のあいだにあります。年金事務所への届出は5日以内、税務署への法人設立届出書は設立の日以後2か月以内と、同じ時期に走る手続きでも期限の幅は大きく違います。

この記事の監修者
税理士 木村優太(CFOne会計事務所 所長税理士)

木村 優太CFOne会計事務所 所長税理士

累計300社以上の申告を手がけ、freee導入実績全国1位の会計事務所で「freee Master of the Year」を受賞した現役の税理士・会計事務所の所長が、本記事の内容を監修しています。

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会社設立後にやることリスト|登記完了から順に確認する

ここでは、会社設立後にやることの全体像を、期限が早いものから並べます。どこに何をいつまでに出すかを先に押さえておくと、書類の取り直しを防げます。

手続きの起点は登記申請日ではなく登記が完了した日

設立後の届出の多くは、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)を添えて提出します。ところが法務局は、登記の申請から登記手続が完了するまでの間は、原則として登記事項証明書も印鑑証明書も発行されないと案内しています(法務局「商業・法人登記の申請書様式」)。

完了する日は「登記完了予定日」として公開されており、申請した登記所を管轄する法務局のウェブサイトから確認できます。まずはこの日を押さえるところから始めます。

一方で、税務署に出す法人設立届出書の期限は設立の日(設立登記の日)から数えます。証明書がそろうのを待っている間も期限は進むため、完了予定日を見ながら前後の予定を組みます。

会社設立後にやることと期限の一覧

次の表は、提出先と期限をまとめたものです。従業員を雇わない会社では、労働保険と雇用保険の行はいったん不要になります。

手続き提出先・決める場所期限
登記事項証明書・印鑑証明書の取得法務局(登記所)期限の定めなし(登記完了後に取得できる)
健康保険・厚生年金保険 新規適用届年金事務所事実発生から5日以内
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届年金事務所事実発生から5日以内
労働保険 保険関係成立届労働基準監督署保険関係が成立した日から10日以内(従業員を雇う場合)
雇用保険 適用事業所設置届ハローワーク設置の日の翌日から起算して10日以内(従業員を雇う場合)
法人設立・設置届出書都道府県税事務所・市区町村自治体の条例による(東京都は開始・設置の日から15日以内)
給与支払事務所等の開設届出書税務署開設の事実があった日から1か月以内
法人設立届出書税務署設立の日(設立登記の日)以後2か月以内
事前確定届出給与に関する届出書税務署設立の日以後2か月を経過する日(役員賞与を出す場合)
労働保険 概算保険料申告書労働基準監督署保険関係が成立した日から50日以内(従業員を雇う場合)
雇用保険 被保険者資格取得届ハローワーク雇い入れた事実のあった月の翌月10日まで(従業員を雇う場合)
青色申告の承認申請書税務署設立の日以後3か月を経過した日と第1期の事業年度終了の日の早い日の前日まで
役員報酬の決定社内(株主総会・社員の決定)会計期間開始の日から3か月を経過する日まで
適用事業報告労働基準監督署事業を開始したとき遅滞なく(従業員を雇う場合)
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書税務署期限の定めなし(提出した月の翌月に支払う給与等から適用)
適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイス登録)税務署設立した課税期間の末日まで(提出すれば設立日から登録を受けられる)
消費税簡易課税制度選択届出書税務署設立した課税期間の末日まで(提出すれば1期目から適用)

表の最後の2行は、出すかどうかを会社が選ぶ届出です。簡易課税は課税事業者であることが前提のため、資本金1,000万円未満の会社が免税事業者のままなら使えず、インボイス登録とあわせて検討します(国税庁「No.6505 簡易課税制度」)。

主な期限を時間軸に置き直すと、次のようになります。

会社設立後にやることの期限を、登記完了後から1期目の末日まで(インボイス登録申請書と簡易課税制度選択届出書の提出期限を含む)順に並べた図

設立そのものの手続き、つまり定款の作成から登記の申請までの流れは、次の記事で順を追って説明しています。

会社設立の流れ 6つの手続きを解説 会社設立の流れ|株式会社の6つの手続きを解説

会社設立後にまずやることは登記事項証明書と印鑑証明書の取得

ここでは、設立後の届出の土台になる2つの証明書について、取り方と必要な部数の決め方を整理します。順番を間違えると窓口で止まる部分です。

印鑑証明書を取るには先に印鑑カードの交付を請求する

会社の印鑑証明書は、法務局に請求書を出すだけでは受け取れません。印鑑証明書の交付申請には印鑑カードの提出が必要で、郵送で受け取る場合も同じです(法務局「登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式」)。

印鑑カードの交付を請求できるのは、登記所に印鑑を提出した人です(商業登記規則9条の4第1項)。設立登記と一緒に印鑑届書を出していれば、登記完了後に印鑑カード交付申請書を提出して受け取ります。

登記事項証明書のほうは印鑑カードがなくても請求でき、商業・法人登記情報交換システムによってどの登記所でも取得できます。急ぐ書類はこちらを先に手配します。

オンラインで設立登記をした場合は印鑑を提出したか確認する

令和3年2月15日から、登記の申請をオンラインで行う場合は登記所への印鑑の提出が任意になりました(法務省「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行について」)。書面で申請する場合は、申請書に登記所へ提出した印鑑を押すため、従来どおり印鑑を提出します。

印鑑を提出していない会社は、印鑑カードの交付を請求できず、登記所が発行する印鑑証明書も受け取れません。設立後に会社の印鑑証明書が要る場面があるなら、印鑑届書を出したかどうかをここで確かめます。

何部取るかは使い道と有効期限から逆算する

証明書の手数料は令和7年4月1日に改定されました。現在の額は次のとおりです(法務省「登記手数料について」)。

証明書書面請求オンライン請求・送付オンライン請求・窓口交付
登記事項証明書(謄抄本)600円520円490円
印鑑証明書500円450円420円

いずれも令和7年4月1日以降の額です。オンライン請求は登記・供託オンライン申請システムを使った請求を指します。

部数を決めるときに効くのが有効期限です。年金事務所の新規適用届に添える法人(商業)登記簿謄本は、提出日からさかのぼって90日以内に発行されたものを出すことになっています(日本年金機構「新規適用の手続き」)。

まとめて取っておくと窓口に行く回数は減りますが、使う前に90日を過ぎると取り直しになります。提出時期が決まっている届出から逆算して、必要な時期に必要な部数を請求します。

登録免許税や定款の認証手数料など、設立の段階でかかるお金の内訳は次の記事にまとめています。

会社設立の費用はいくら?内訳一覧と最安ルートを解説(税理士監修・AI会計アプリ シフォン/CFOne) 会社設立の費用はいくら?内訳一覧と最安ルートを解説

会社設立後にやること①税務署へ出す提出書類と提出期限

ここでは、会社設立後に税務署へ出す書類を、期限の根拠とあわせて確認します。出し忘れるとその期から受けられなくなる特典があるのはこの章です。

法人設立届出書は設立の日以後2か月以内

内国法人である普通法人を設立したときは、設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に法人設立届出書を納税地の所轄税務署長へ提出します(国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」)。根拠は法人税法148条1項です。

添えるのは定款、寄付行為、規則又は規約の写しです(国税庁「C1-4 内国普通法人等の設立の届出」)。e-Taxでも書面でも提出でき、書面の場合は1部を持参または送付します。

青色申告の承認申請書は3か月と事業年度末の早いほう

設立第1期から青色申告の承認を受けるには、設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までに青色申告の承認申請書を提出します(国税庁「C1-19 青色申告書の承認の申請」)。

第1期が3か月より短い会社では、事業年度終了の日のほうが先に来ます。設立日と決算日を並べて、どちらが早い日になるかをその場で確かめておきます。

申請書の書き方は、次の記事で記入例つきで説明しています。

法人の青色申告承認申請書の書き方と記入例を解説する記事のアイキャッチ画像 法人の青色申告承認申請書の書き方|記入例と提出期限

給与支払事務所等の開設届出書は1か月以内

給与等の支払事務を取り扱う事務所を設けたときは、その事実があった日から1か月以内に給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書を提出します(国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」)。

根拠は所得税法230条です。社長1人の会社でも、役員報酬を支払うなら給与の支払事務を扱うことになるため、この届出の対象になります。

源泉所得税の納期の特例は提出期限がなく翌月支払分から効く

源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納めます。ただし給与の支給人員が常時10人未満なら、半年分をまとめて納められる特例があります。

特例を受けると、1月から6月までに源泉徴収した分は7月10日、7月から12月までの分は翌年1月20日が納付期限になります(国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」)。

この特例を受けるための申請書に提出期限はありません。随時(申請書を提出した月の翌月に支払う給与等から適用)という扱いで、却下の通知がなければ提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされます(国税庁「A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」)。

設立直後に出しておけば、最初の給与から特例が効きます。毎月の納付が年2回になるので、1期目の事務量がその分だけ軽くなります。

インボイスの登録は1期目の消費税の扱いを変える

新しく設立した法人は設立1期目と2期目に基準期間がないため、原則として消費税の納税義務が免除されます。ただし期首の資本金の額または出資の金額が1,000万円以上の場合は免除されません(国税庁「No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」)。

ここで気をつけたいのが適格請求書発行事業者の登録です。登録を受けている場合は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下でも納税義務は免除されません(国税庁「No.6501 納税義務の免除」)。

インボイスの登録は、ほかの届出と並ぶ事務手続きではなく、1期目から消費税を申告して納めるかどうかの判断です。取引先が課税事業者かどうかを確かめたうえで決めます。

個人事業から法人にした場合は、個人側の廃業に関する手続きもあわせて必要になります。判断の材料は個人事業主の法人化を解説した記事にまとめています。

届出の期限を追いながら記帳の体制まで同時に立ち上げるのが重いと感じる小規模法人の方には、会計サービス「シフォン(CFOne)」も選択肢になります。記帳や仕訳はAIが担当し、税理士基準のチェックを経てから確定します。

会社設立後にやること②都道府県税事務所・市区町村への届出

ここでは、会社設立後に自治体へ出す届出を確認します。税務署と同じつもりで進めると期限を外しやすいところです。

提出期限は自治体の条例で決まる

法人を設立したら、税務署とは別に、本店のある都道府県税事務所と市区町村にも設立の届出を出します。この期限は法律ではなく自治体ごとに定められており、東京都では開始・設置の日から15日以内です(東京都主税局「法人事業税・法人都民税」)。

税務署の2か月以内と比べると、かなり短い期限です。都道府県と市区町村で様式も提出先も分かれるため、本店所在地の自治体の案内を設立前に見ておきます。

赤字でも法人住民税の均等割はかかる

法人住民税は、事務所や事業所がある法人に課されます(地方税法24条1項3号)。このうち均等割は、所得ではなく資本金等の額と従業者数の区分で決まるため、赤字の年でも納めます。

標準税率は、資本金等の額が1,000万円以下の法人で道府県民税が年2万円です(地方税法52条1項)。市町村民税は従業者数の合計が50人以下なら年5万円で、市町村は標準税率の1.2倍までの範囲で税率を定められます(地方税法312条1項・2項)。

つまり最小規模の会社でも、標準税率なら道府県民税と市町村民税を合わせて年7万円が毎期発生します。超過課税をしている自治体もあるため、実際の金額は本店のある自治体で確認します。

設立1期目のように事業年度が12か月に満たない場合は、事務所などを有していた月数で按分して計算します(地方税法52条3項・312条4項)。1か月に満たない端数は切り捨てます。

なお会社法は、定款に「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」を定めることを求めているだけで、資本金の最低額は置いていません(会社法27条4号)。資本金の大きさは、この均等割の区分と消費税の判定に効いてきます。

会社設立後にやること③社長1人の会社でも社会保険に加入する

ここでは、会社設立後の社会保険の手続きを確認します。従業員がいない会社でも避けられない、期限のいちばん短い届出です。

新規適用届は事実発生から5日以内

日本年金機構は「常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用する法人事業所は厚生年金保険および健康保険の加入が法律で義務づけられています」と案内しています。社長1人だけの会社もここに含まれます。

健康保険・厚生年金保険 新規適用届の提出時期は事実発生から5日以内です(日本年金機構「新規適用の手続き」)。根拠は健康保険法施行規則19条1項と厚生年金保険法施行規則13条1項で、どちらも五日以内と定めています。

提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、電子申請・郵送・窓口持参から選べます。5日は短いので、登記完了後の予定に先に入れておきます。

添付する登記簿謄本は発行から90日以内のもの

新規適用届には法人(商業)登記簿謄本を添えます。この謄本は、提出日からさかのぼって90日以内に発行されたものを出すことになっています。直近の状態を確認するためです。

法人の所在地が登記上の所在地と異なる場合は、賃貸借契約書の写しなど所在地を確認できるものも添えます。あわせて法人番号指定通知書の写しも必要です。

設立直後に登記事項証明書をまとめて取っておくと、使う前に90日を過ぎることがあります。社会保険の届出に使う分は、提出の直前に取るほうが確実です。

従業員や家族を加えるときの届出

従業員を採用したときは、健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届を提出します。提出時期はこちらも事実発生から5日以内です(日本年金機構「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き」)。

配偶者や子を扶養に入れる場合は、健康保険 被扶養者(異動)届もあわせて出します。社長1人の会社でも、家族を扶養に入れるならこの届出が発生します。

社会保険は、加入する義務があるかどうかの判断と、毎月の保険料の計算が同時に走ります。自分の会社がどこまで当てはまるか整理したい方は、会計サービス「シフォン(CFOne)」で、何度相談しても追加料金のかからない形で確認していく方法もあります。

従業員を雇う場合に会社設立後にやることへ加わる労働保険

ここでは、人を雇うときに増える手続きを確認します。役員だけで運営している会社では、当面は出番のない章です。

役員だけの会社は労働保険の対象にならない

厚生労働省は「事業主は、労働者を一人でも雇っていれば労働保険に加入し、労働保険料を納付する必要があります」としたうえで、「法人の役員、同居の親族等は、原則として対象となりません」と示しています(厚生労働省「労働保険の適用・徴収」)。

社長1人だけの会社や、役員だけで回している会社では、労働基準監督署とハローワークへの手続きはいったん発生しません。最初の従業員を雇い入れた時点で、次の届出が一斉に動き出します。

労働基準監督署へ出すもの

労働保険の保険関係成立届は、保険関係が成立した日から10日以内に届け出ます(労働保険の保険料の徴収等に関する法律4条の2第1項)。提出先は所轄労働基準監督署長または所轄公共職業安定所長です。

概算保険料は、保険年度の途中に保険関係が成立した場合、成立した日から50日以内に申告書を添えて納付します(同法15条1項)。成立届とは期限が違うので、別の予定として持っておきます。

あわせて、事業を開始したときは遅滞なく適用事業報告を所轄労働基準監督署長へ提出します(労働基準法施行規則57条1項1号)。

書類期限根拠
労働保険 保険関係成立届保険関係が成立した日から10日以内労働保険徴収法4条の2第1項
労働保険 概算保険料申告書保険関係が成立した日から50日以内労働保険徴収法15条1項
適用事業報告事業を開始したとき遅滞なく労働基準法施行規則57条1項1号

ハローワークへ出すもの

雇用保険の事業所設置届は、事業所を設置した日の翌日から起算して10日以内に、登記事項証明書・賃金台帳・労働者名簿などを添えて所轄公共職業安定所長へ提出します(雇用保険法施行規則141条1項)。

雇用保険被保険者資格取得届は、被保険者となった事実のあった日の属する月の翌月10日までに提出します(同規則6条1項)。設置届とは数え方が違う点に注意します。

ここでも登記事項証明書が要ります。社会保険の届出とは提出の時期がずれるため、どの手続きでいつ何部使うかを一覧にしておくと、取り直しを減らせます。

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会社設立後にやること④法人口座の開設と役員報酬の決定

ここでは、役所への届出と並行して進める社内の決めごとを扱います。期限の意識が薄くなりやすい役員報酬が要点です。

法人口座の開設では会社の実在と事業内容が確認される

金融機関は、法人と取引を始めるときに、会社の名称と本店所在地、取引を行う目的、事業の内容、実質的支配者の本人特定事項を確認することが義務づけられています(犯罪による収益の移転防止に関する法律4条1項)。

そのため口座開設では、登記事項証明書や事業の中身が分かる資料をそろえて臨みます。必要書類や審査の進め方は金融機関ごとに違うので、申し込む前にそれぞれの案内を確認します。

役員報酬は設立から3か月以内に決める

役員に支払う給与は、定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与のいずれにも当たらないと損金になりません(法人税法34条1項)。小規模法人が使うのは、毎月同額を支払う定期同額給与です。

定期同額給与として扱われる改定は、原則として会計期間開始の日から3か月を経過する日までにされたものです。それ以降は臨時改定事由・業績悪化改定事由に当たる場合を除いて改定できません(法人税法施行令69条1項1号)。

設立第1期は会計期間の開始日が設立日にあたるため、設立から3か月以内に役員報酬を決めることになります。決めた金額は期の途中で自由には変えられません。

役員報酬を定期同額給与として決められる期間を示した図

決算月ごとに、いつまでなら変更できるかは次の記事で整理しています。

役員報酬の変更タイミングを決算月別の期限一覧つきで解説する記事のアイキャッチ画像 役員報酬の変更タイミングは?決算月別の期限を解説

役員賞与を出すなら届出は設立の日以後2か月を経過する日まで

役員に賞与を出す場合は、事前確定届出給与に関する届出書を税務署へ提出します。新設法人が設立の時に始まる役員の職務について定めたときは、提出期限は設立の日以後2か月を経過する日です。国税庁のタックスアンサー「No.5100 新設法人の届出書類」に示されています。

法人設立届出書と同じ2か月の締切が、もう1本あることになります。賞与を出すかどうかは、設立してすぐの段階で決めておく必要があります。

会社設立後にやることの最後は会計と帳簿の体制づくり

ここでは、届出が一段落したあとに残る会計の話を扱います。1期目の決算から逆算して決めるのが、この章の要点です。

帳簿と書類は原則7年、欠損金があるときは10年保存する

青色申告法人は、帳簿と決算に関する書類、取引の相手方から受け取った書類などを整理して、起算日から7年間、納税地に保存します(法人税法施行規則59条1項)。

起算日は、帳簿ならその閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日、書類ならその作成または受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から2か月を経過した日です(同条2項)。

欠損金の繰越しの適用を受ける場合は、その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類を起算日から10年間保存します(法人税法施行規則26条の3第1項)。設立1期目は赤字になることもあるため、最初から10年を前提に保存場所を決めます。

繰り越せるのは、各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度に生じた欠損金額です(法人税法57条1項)。1期目の赤字は、その後の黒字と相殺できます。

1期目の決算・申告から逆算して記帳のやり方を決める

設立直後は届出に追われますが、帳簿は最初の取引から積み上がっていきます。期の途中でやり方を変えると、前半と後半で記録の粒度がそろわなくなります。

帳簿の付け方は次の記事で、手書きやエクセルの場合も含めて説明しています。

帳簿の付け方が分かる記帳ノートとチェックペンのイラスト 帳簿の付け方|初心者向けに手書き・エクセルも解説

記帳から決算・申告までをまとめて任せたい小規模法人の方には、会計サービス「シフォン(CFOne)」も選択肢になります。年10万円(税抜)〜で、記帳から決算・申告まで対応しています。

株式会社と合同会社で会社設立後にやることは違うのか

ここでは、関連する検索でよく並ぶ2つの会社形態の違いを確認します。結論から言うと、役所へ出す届出の中身は同じです。

届出はどちらも同じで、違うのは役員報酬の決め方

税務署・自治体・年金事務所・労働基準監督署への届出は、株式会社でも合同会社でも変わりません。設立後の手続きとして分かれるのは、会社の中での決め方と登記の扱いです。

株式会社では、取締役の報酬の額は定款に定めていないときは株主総会の決議で決めます(会社法361条1項)。合同会社では、社員が2人以上いる場合、定款に別段の定めがなければ社員の過半数で決めます(会社法590条2項)。

社員が自分ひとりの合同会社なら、決定を書面に残せば足ります。ただし決めた内容と時期は定期同額給与の判定で見られるため、日付の入った書面にしておきます。

任期と決算公告は株式会社だけの手続き

取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。公開会社でない株式会社は、定款で選任後10年以内まで伸ばせます(会社法332条1項・2項)。合同会社の業務執行社員に任期の定めはありません。

任期が満了したら役員変更の登記が必要です。法務局の「商業・法人登記の申請書様式」では、登記すべき期間内に登記を怠ると、代表者が裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があると案内されています。

株式会社はさらに、定時株主総会の終結後に遅滞なく貸借対照表を公告します(会社法440条1項)。この規定は株式会社について置かれたもので、合同会社には同じ義務がありません。

項目株式会社合同会社
設立後の役所への届出同じ同じ
役員報酬の決定定款になければ株主総会の決議定款に別段の定めがなければ社員の過半数
役員の任期原則2年・公開会社でなければ定款で10年まで定めなし
貸借対照表の公告定時株主総会の終結後に必要会社法440条の対象外

合同会社そのものの作り方と株式会社との違いは、合同会社の設立を解説した記事で詳しく扱っています。

会社設立後にやることのよくある質問

ここでは、会社設立後にやることをめぐってよく検索されている質問に答えます。

法人化したら1年目から税金は発生しますか?
法人住民税の均等割は所得ではなく資本金等の額などで決まるため、赤字でも納めます。標準税率は資本金等1,000万円以下・従業者50人以下で年7万円ですが、自治体によって異なります。
資本金10万の会社は大丈夫?
会社法に資本金の最低額の定めはありません。資本金1,000万円未満なら設立1期目は原則として消費税が免除され、法人住民税の均等割も最も低い区分になります。ただし、インボイス発行事業者の登録を受けると課税事業者になり、消費税は免除されません。
会社を立ち上げたらやることは?
登記完了後に登記事項証明書と印鑑証明書を取り、年金事務所へ5日以内、税務署へ2か月以内に届け出ます。並行して法人口座の開設と役員報酬の決定を進めます。
登記が完了した後にすることは?
まず登記事項証明書と印鑑証明書を取得します。これらは各届出の添付書類になるため、提出の時期から逆算して必要な部数を請求すると取り直しを防げます。

まとめ

会社設立後にやることは、登記が完了した日を起点に期限の早い順で並べると整理できます。年金事務所への新規適用届が5日以内、自治体への設立の届出が東京都なら15日以内、税務署への法人設立届出書が設立の日以後2か月以内です。

青色申告の承認申請書と役員報酬の決定は、どちらも3か月が区切りになります。ここを過ぎると、その期は青色申告の特典が使えず、役員報酬も原則として動かせません。

労働保険と雇用保険は、最初の従業員を雇い入れてから動き出します。役員だけの会社では当面不要なので、自社がどちらに当てはまるかをまず見分けます。

届出が終わっても、帳簿は1期目の初日から積み上がります。保存期間は原則7年、欠損金があるときは10年です。最初に決めた記帳のやり方が、そのまま1期目の決算の手間になります。

設立1期目の記帳と申告を、どう回すか決めきれていない方へ

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本記事のご注意

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・会計上の判断を保証するものではありません。制度・税率・控除額・期限等は改正される場合があります。実際のお手続きや判断にあたっては、最新の情報を国税庁等の公式サイトでご確認のうえ、必要に応じて税理士や所轄の税務署にご相談ください。